ダイビング中の死亡事故。楽しい潜水で命を落とさないために

ダイビングコラム

スキューバダイビングは美しい海の世界を探索する魅力的なアクティビティですが、残念ながらリスクも伴います。毎年のように死亡事故が起きているのも事実です。そのため、スキューバダイビングをしない方からすると、ダイビング=危険と思う方も少なくありません。

この記事では、スキューバダイビング中に起こり得る死亡事故とその対策について詳しく解説します。

スキューバダイビングにおける死亡事故の原因

スキューバダイビング中の死亡事故の原因は大きく分けると4つあります。しかし小さなきっかけから、複数の要因がからまって事故につながることも少なくありません。

ダイビング器材の不具合

特殊な環境下に身を置くスキューバダイビングにおいて、ダイビング器材は命を預ける重要な装備です。タンクからの酸素供給、浮力調整、体温低下など、多くのリスクを器材がカバーしています。

しかし、タンクからのエア漏れ、レギュレーターの故障、BCDの不具合などが起きた場合、事故につながる可能性があります。特に、レギュレーターが正常に動作しないと、適切な呼吸ができなくなり、死亡事故に繋がりやすいです。

気象状況

スキューバダイビングはしっかりとした潜水計画が求められるアクティビティです。潜水計画に判断ミスがあると、事故につながる可能性が高くなります。潜水計画を立てる際に、気象状況などに合わせてダイビングポイント、水深、潜水時間などを計画する必要があります。

しかし判断を間違えると、潮流、流れ、透視度などに対応できずに事故を引き起こす可能性があります。また、ダイビング中に予期せぬ変化が起きた場合にも判断ミスをすると、同じく事故のリスクが高まります。

スキル不足

スキューバダイビングを安全に楽しむためには、しっかりとしたスキルが必要です。基本的なスキルはもちろん、トラブルが発生した際の対処スキルも求められます。特にトラブルが発生した場合、上手に対処できないと死亡事故に繋がる可能性が高まります。

水中でのパニック

水中でのパニックは、多くのダイビング事故の原因とされています。突然の器材トラブルや、見知らぬ環境での不安感、気象状況の変化などがパニックを引き起こす原因となることが多いです。パニックに陥ると、冷静な判断ができなくなり、緊急浮上や突飛な行動を取ってしまい、それが事故につながる場合があります。

死亡事故の対策方法

死亡事故を防ぐためには事故に繋がるトラブルを防ぐことが大切です。またトラブルが起きても適切に対処すれば事故に繋がりません。そのため対策方法と、対処方法をしっかりと理解しておくことが大切です。

ダイビング器材の点検

潜る前にタンクを含めたダイビング器材の点検をしっかりとしましょう。必ずチャージされたタンクを使用し、残圧の確認も忘れずにしましょう。レギュレーターは呼吸をするために重要な器材です。問題なく呼吸ができるか確認してください。

それ以外の器材も、必ず動作確認や破損がないかの確認をしましょう。タンクやレギュレーターのトラブルは即、命にかかわることなのでしっかりと確認する人が多いです。
しかしそれ以外の器材の確認は簡単に済ませる人が少なくありません。どんなトラブルが死亡事故につながるか分からないので、些細なことでも異常があれば潜る前に対応してください。

無理な潜水計画を立てない

潜水計画を立てるときは、気象状況やレベルに応じて潜る場所、水深、潜水時間などを判断しましょう。「これくらい大丈夫」という油断が大きな事故に繋がりかねないので、必ず慎重に判断しましょう。

また潜る前は穏やかな気象状況でも、潜っている間に急変する可能性もあります。その場所の気象状況については、地元のガイドや漁師さんが一番理解しています。そういった方々の意見を参考にすることも大切です。

スキルアップする

「マスクに水が入った」「レギュレーターが口から外れた」「フィンが脱げた」そんなささいなトラブルをきっかけに事故になることもあります。そのようなときに適切な対応ができるようにスキルを磨くことが大切です。

またスキルに不安があることで、不安な気持ちが強くなってパニックになることもあります。不安なくダイビングを楽しむためにもスキルアップしましょう。

大抵のダイビングショップには「リフレッシュコース」と呼ばれるような、スキルに不安がある方向けのコースが用意されています。他のダイバーとは別に潜り、不安のあるスキルを練習することができるのでおすすめです。

また各指導団体にはスペシャルティコースと呼ばれる1つのことに特化したことのスキルと知識を学ぶコースがあります。スキルアップしたい方にはそちらもコースを受講するのもおすすめです。

水中でのパニック対策

水中でパニックを起こすと、自分でもどんな行動を起こすかわかりません。パニックになるには様々な要因がありますが、不安や緊張からくることが多いです。そのため、不安につながることをなるべく取り除くことが大切です。

まず緊急時に取るべき行動を再確認しましょう。迷子、エア切れ、器材トラブルなどよく起こるトラブルの際のハンドシグナル、対処方法などをインストラクターと確認しましょう。

特にハンドシグナルは重要です。水中ではしゃべれないので、コミュニケーションが取りづらいです。トラブルが発生した際に、それ伝えたくてもうまく伝えられず、最終的にパニックになることも少なくありません。

また潜る前にリラックスしましょう。 「深呼吸をする」「暖かい飲み物を飲む」「好きな音楽を聴く」ご自身に合った方法でリラックスタイムを取りましょう。中にはリラックスしようと意識するあまりに、かえって力が入りすぎてしまう方もいるので、適度に意識してみてください。

セーフティグッズの携行

ダイビング中に強い潮流によって流されてしまったり、間違ってコースを外れてしまったりすることがあります。漂流による事故を防ぐために、セーフティグッズを携行するようにしましょう。

シグナルフロートが一般的ですが、それ以外にもミラー、ホイッスル、ダイビングホーンや海面着色剤はとても有効です。すべてを持つ必要はありませんが、複数のグッズを持っていれば、捜索時に発見されやすくなります。

また透視度が悪い状況で潜る場合、水中ライトやフラッシュライトを携行しましょう。水中ライトは生物観察や意思の疎通などさまざまな場面でも役立つので、ぜひ携行してください。

病気とスキューバダイビング中の事故

スキューバダイビング中の死亡事故は、上記のような原因で起こることが多いです。しかし最近では病気や体調不良が原因の事故も増えています。水中という特殊な環境下に身を置くと、水圧などが病気の悪化を誘発する可能性があります。そのため体調に不安のある方はダイビングを中止する勇気も必要です。

健康不安のあるダイバーは医師の診断を

ダイビングを申し込む際、基本的にはメディカルチェック票の記入が必要です。その際に何か1つでもひっかかることがあれば、医師の診断が必要となります。しかし持病や健康状況を隠して潜る人が少なくありません。そして水中で発病し、死亡事故へと繋がるのです。

何か持病を抱えていても、医師の許可があれば潜れます。そのため、隠して潜るのではなく、必ず医師の診断を受けてください。特に40歳以上のダイバーでは病気による死亡事故が多いので、可能な限り健康診断を受けた上で潜るようにしましょう。特に心臓や血圧関係の病気や不安がある方は注意してください。

病気が引き金となっての事故は、いくらインストラクターや周りが注意しても防ぎようがありません。事故は自分だけでなく、周りも巻き込むものですので、医師の診断を受けてください。

まとめ

スキューバダイビングにおける死亡事故の原因と対策方法について解説しました。

スキューバダイビングは楽しいアクティビティですが、リスクもついてきます。ダイビング器材の確認、適切な潜水計画、スキルアップなどが事故を防ぐ鍵です。安全なスキューバダイビングを楽しむために、これらのポイントをしっかりと押さえておきましょう。

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