ダイビングでの水中撮影と言えば、ひと昔前までは一部のベテランダイバーが楽しむものでした。大きな撮影機材を水中に持ち込んで撮影する必要があり、相応のダイビングスキルが求められたからです。
しかし技術の発達とともに、小型で安価なカメラが発売され、誰でも手軽に水中撮影がきるようになりました。また最近はSNSが流行していることもあり、ダイビング用カメラを持って潜るダイバーのほうが多いくらいです。
今回は、ダイビング用カメラについて、種類や選び方、そして上手に水中撮影するコツまでを紹介します。これから水中撮影を始めてみたい方、もっとステップアップしたいというダイバーの方はぜひ参考にしてください。
ダイビングカメラの種類
ダイビング用カメラには、大きく分けて以下の3つのタイプがあります。
- コンパクトデジカメ+防水プロテクタ
- 一眼レフカメラ+防水プロテクタ
- アクションカメラ
それぞれ特徴があり、撮影できる写真にも違いがあります。それぞれ紹介していきますので、参考にしてください。
コンパクトデジカメ+防水プロテクタ
コンパクトデジカメは、名前の通りコンパクトな大きさのデジカメです。最近ではもともと防水性を備えている機種も多いですが、ダイビングをする場合は防水プロテクタと呼ばれるカバーを付けて使用します。防水プロテクタを装着しても片手でも操作できる程度ですし、シンプルな操作性なので、手軽に撮影できます。比較的手ごろな価格の機種も多いので、水中撮影初心者のダイバーの方にもおすすめです。また、さまざまなアクセサリーをしようすることで、ワンランク上の撮影も可能です。そのため、中級以上のダイバーでも十分に撮影を楽しめるのではないでしょうか。
デジタル一眼レフカメラ(ミラーレス一眼レフ)+防水プロテクタ
デジタル一眼レフカメラやミラーレス一眼レフカメラは、レンズ交換式のカメラで、コンパクトデジカメより高画質な写真が撮影できます。こちらも防水プロテクタを付けて使用しますが、もともとのカメラの大きさに加え、アクセサリー類を装着すると片手では操作できないサイズとなります。また水中ではレンズが交換できないので、予めどんな撮影をするのか決めなくてはいけません。
しかし撮影する被写体やシーンに合わせてレンズを選ぶことで、本格的な作品作りが可能です。画質もコンパクトデジカメで撮ったものとはくらべものにならないほど美しく、本格的に撮影をしたい方は、デジタル一眼レフカメラを選びましょう。
アクションカメラ
アクションカメラはウェアラブルカメラとも呼ばれ、小型でタフなカメラで、さまざまなアウトドアシーンなどで使用されます。基本的に超広角レンズを搭載していて、どちらかと言えば動画撮影向きですが、静止画の撮影も可能です。
一般的なカメラは手で持ち、しっかりと構えて撮影をしますが、アクションカメラはアクセサリーを使用することで、手軽に撮影できます。自撮り棒を使用すれば、記念撮影が簡単ですし、自撮り棒を伸ばしてカメラだけを被写体に近づけて、驚かさずに撮影もできます。先品づくりには不向きですが、ダイビング中のちょっとした記録撮影用にはおすすめです。またデジカメで写真を撮影しつつ、アクションカメラで同時に動画を撮るダイバーも多いです。
ダイビングカメラの選び方
ダイビングのカメラを選ぶ際は、まずどのような撮影をしたいのかを考えましょう。
記念撮影や見た生き物の記録用に撮影したい場合は、コンパクトデジカメやアクションカメラがおすすめです。何よりも水中に持ち込みやすいですし、操作も簡単で、手軽に撮影できます。
記念撮影もしたいし、ちょっと凝った撮影もしたいというは、コンパクトデジカメがおすすめです。アクセサリー類が豊富なので、組み合わせ次第でワンランク上の撮影も可能です。上手に使いこなせば、一眼レフ顔負けの作品も撮影できますよ。
そして本格的な作品作りをしたい場合は、画質のよいデジタル一眼レフカメラ、ミラーレス一眼レフカメラを選びましょう。レンズを交換することや、絞り、シャッタースピードを変更することで、ガラッと違った出来上がりになります。作品を仕上げるためには自分の撮影意図に合わせて細かな設定が必要なので、デジタル一眼レフカメラがおすすめです。
水中写真の撮影テクニック
せっかく水中写真を撮影するのであれば、きれいに撮りたいと思うのが当たり前です。最近のカメラは性能がよいので、細かなことを気にしなくてもきれいに撮れることも多いです。しかしちょっとしたことを意識すれば、さらにきれいな撮影ができます。
ここでは、きれいな水中写真を撮るための撮影テクニックを紹介していきます。
被写体に近づく
水中写真を綺麗に撮影する一番のポイントは、できるだけ被写体に近づくことです。カメラと被写体の間が遠ければ遠いほど、その間にある海水がフィルターとなり、鮮明さが失われます。そのため、できるだけ被写体に近づくことが綺麗に撮影する第一歩なのです。もちろん、中には臆病な生き物もいるので、驚かせないように近づくために、ダイビングスキルも上達させる必要があります。
ストロボやライトを使用する
海の中では、すべての景色が青みかかって見えます。これは水が赤色を吸収し、青い光が中心となるからです。そのため、そのまま撮影してしまうと、赤色の魚やサンゴは本来の色が写らず、全体的に青色の写真に仕上がってしまいます。
そこでストロボや水中ライトを照射することで、本来の色味が浮かび上がり綺麗な写真や動画になるのです。最初のころはデジカメの内臓ストロボでも大丈夫ですが、より綺麗な写真を撮るためには、外付けのストロボやライトを装着して撮影することをおすすめします。
ダイビングスキルを上達させる
最後のポイントは、撮影自体のテクニックではなく、ダイビングスキルを上達させることです。
陸上でも水中でも、撮影時にブレが生じないように体やカメラを固定することはとても大切です。しかし水中では水の流れや浮力の影響もあり、体がフワフワと動きます。体をしっかりと安定させるために、中性浮力や呼吸方法を上達させましょう。体を安定させられれば、手ブレが起きず、きれいな写真に仕上がりやすいです。
また水中で自分の体を自由にコントロールできるようになることで、生き物への接近もうまくいきやすいです。バタバタとしていては、生き物が驚いて逃げてしまいます。そーっと近づけるスキルがあれば、生き物が普段通りの姿を見せてくれ、写真におさまってくれます。
おすすめのダイビング用カメラ3選
ここからはおすすめのダイビング用カメラを3つご紹介します。
気軽な撮影に向いたものから、作品作りに適したものまで紹介しますので、ぜひご自身のスタイルに合ったものを見つけてみてください。
GoPro HERO11
記念撮影や見た生き物の記録を手軽にしたいダイバーには、アクションカメラのGoPro HERO11がおすすめです。小さくて軽く、片手で操作できるので気軽に撮影ができます。
GoPro HERO11自体は10mの防水ですが、ダイビングの場合は防水プロテクタを使用しましょう。防水プロテクタを使用すれば60mまで防水可能となります。
GoPro HERO11のおすすめの使い方は、ダイビング中にずっと動画を撮影し続け、ダイビング後に静止画として切り取ることです。動画から切り取った場合でも2700万画素と高画質の静止画になります。構えて撮った写真とは違う臨場感のある写真にしあがります。
オリンパス Tough TG-6
オリンパスのTough TG-6はコンデジで撮影を始めてみたいダイバーの方におすすめです。
TG-6はカメラ自体が15mの防水、防水プロテクタを使用すると45mまでの防水となります。カメラ自体に防水機能がありますが、基本的には防水プロテクタを使用しましょう。ただ、万が一水没した場合でもカメラ自体の防水機能のおかげで、カメラが故障するリスクが減らせるのが嬉しいポイントです。
またTG-6は5つの水中撮影モードが搭載されているので、撮影シーンに合わせて選べば簡単にきれいな写真が撮れます。オリンパスは古くから水中モード開発に力を入れているので、ほかのメーカーの機種より簡単できれいに撮影できると評判です。アクセサリーも豊富なので、撮影になれたら拡張していくのも楽しいでしょう。
SONY RX100M5A
SONY RX100M5はコンパクトデジカメの中でも最高峰のカメラです。
SONY RX100M5Aは315か所のAFセンサー(ピントが合う場所)があるので、小さな被写体、動く被写体が多い水中撮影では非常におすすめです。動きの速い魚にも、瞬時にピントを合わせてくれます。
また「マニュアルモード」を搭載されているので、絞りやシャッタースピードを調整し、細かな作品作りが可能です。防水機能はないので、防水プロテクタは必須です。
性能や機能性は一眼レフに劣らないほどですが、コンパクトなので水中でも取り回しもしやすいです。一般的なコンパクトデジカメでは物足りないけど、一眼レフはハードルが高いと思う方におすすめです。
機種名 | GoPro HERO11 | Tough TG-6 | RX100M5A |
本体価格 | ¥64,800 | ¥57,200 | ¥113,640 |
防水プロテクタ価格 | ¥7,127 | ¥39,300 | ¥23,382 |
カメラ単体防水 | 10m | 15m | なし |
防水プロテクタ防水 | 60m | 45m | 40m |
開放F値 | – | F2.0-4.9 | F1.8-2.8 |
画素数 | 2700万画素(静止画) | 1200万画素 | 2100万画素 |
水中モード | – | 〇 | 〇 |
4K動画 | 〇(5.3K) | 〇 | 〇 |
ダイビング用カメラの進化
ひと昔前と比べると、水中撮影用のカメラは性能が上がり、本体もコンパクトになっています。安価になったこともあって、ダイビング用カメラを持ってダイビングすることが当たり前になってきました。アクションカメラの進化も著しく、360°撮影できるカメラも増えています。
またスマートフォンのカメラの性能がさらにアップし、最近ではスマートフォン用の防水プロテクタをオーダーメイドで作成して水中に持ち込むダイバーもいます。スマートフォンのカメラ性能もどんどんよくなっているので、今後はスマートフォンで水中撮影するダイバーが増えるかもしれません。もしかすると、さらにはスマートフォン用防水プロテクタのアクセサリー類が開発され、本格的な作品作りが可能になる日も来るかもしれませんね。
まとめ
ダイビング用カメラについて紹介しました。
水中撮影は、一見難しそうに感じるかもしれません。しかしカメラの進歩により誰でも簡単に撮影できる時代になっています。防水機能を備えた機種も多く、水没による故障の不安が軽減されるのも嬉しいポイントです。
水中写真はこだわればキリがないほど奥が深い世界です。まずは自分が撮ってみたい写真に合わせてカメラを選んでみてください。上手く撮れるようになったら、徐々に拡張していくことをおすすめします。