ダイビング中にパニックになってしまったら?対処法を解説

ダイビングとは

スキューバダービング初心者の方は、どうしても水中で不安を感じてしまいがちです。適度な不安であれば安全への意識が強くなりますが、過度な不安はパニックなどに繋がりかねません。

「水中で空気がなくなったらどうしよう」「インストラクターとはぐれたらどうしよう」などと、不安を上げればきりがないでしょう。また不安に感じてはいなくても、トラブルをきっかけにパニックになることよくあります。

パニックを防ぐためには、「不安の解消」と「トラブルを未然に防ぐ」ことが大切です。この記事では、スキューバダイビング中に起きやすいパニックの原因とその対処方法を紹介します。初心者の方はもちろん、中級以上のダイバーの方も今一度参考にしてみてください。

水中でパニックになる原因

水中でパニックになる主な原因は以下のようなものがあります。

  • 体調不良
  • 耳抜きができない
  • エア切れ
  • マスクへの浸水
  • 急浮上

細かな原因を上げれば非常にたくさんあります。

そのほとんどがスキル不足とそれによる不安感です。スキル不足は苦手なスキルをしっかりと練習することが大切です。そしてトラブルが発生したときの対処方法を知っておくことが、いざというときにパニックを防ぐことにつながります。

耳抜きができずにパニック

耳抜きが上手にできなくてパニックになることがあります。

耳抜きしやすい人としにくい人がいます。しかし普段耳抜きがよくできても、体調などによって耳抜きが上手くいかないこともあります。そのため、どんな人でも可能性があることなのです。

特にグループで潜る際、自分だけが耳抜きが出来ず、他のダイバーが先に進んでしまうことがよくあります。すると、「早くしなきゃ」という焦りも合わさってパニックを起こしやすいです。

対処方法

耳が上手く抜けない場合は、まずはインストラクターに伝えましょう。状況に合わせて指示を出してくれるはずです。潜行ロープがある場合は掴むことで落ち着きを取り戻しやすいでしょう。

耳抜きが上手にできない時の基本は、まずは水深を少し上げることです。少し水深を上げたら、もう一度耳抜きをしてください。

耳が抜けたら、その後は数十センチ間隔で耳抜きをしてみてください。途中でまた耳抜きができない場合は、また水深を上げて耳抜きをします。水深5mくらいまで進めば、水圧の変化も弱くなり、耳抜きもスムーズにいくはずです。

また、エントリー前に「飴を舐める」「顎を動かす」といったことをすると、耳が抜けやすくなる人が多いです。潜る前から対策をしておくことも大切です。

エア切れによるパニック

エア切れは命に直接係わるトラブルです。そのため、パニックに陥りやすく、それが原因の事故も多いです。

エア切れは、残圧の確認の怠りによって起こります。気が付いた時にはエアが少なく、慌ててしまう人が多いです。また強い流れに遭遇して、想定以上にエアを消費してエア切れになることもあります。まずは残圧を小まめに確認することが重要です。

エア切れ時の対処方法

エア切れもしくは残圧が残りわずかなことに気が付いた時点で、インストラクターかバディに伝えましょう。オクトパスを受け取り、呼吸をしてください。

おそらくエア切れに気が付いた時点で、心拍数は上がっているので、まずは深呼吸して呼吸を落ち着かせてください。基本的にその時点で浮上するか、場所によっては徐々に浅瀬に向かうことになります。

エア切れになると当然苦しくなり、「早く空気を吸いたい」と他のダイバーのオクトパスを奪いたくなります。また最悪の場合は、一人で急浮上してしまうこともあります。急浮上すると減圧症にもなり、助かる可能性も低くなります。とにかく残圧計を小まめに確認して、エア切れを起こさないようにしてください。

マスクに水が入ってパニック

マスクに水が入ることでパニックになることもあります。マスクに水が入ってくること自体は、インストラクターであってもよくあることです。落ち着いて対処すればなんてことのないことです。しかし初心者の方で、特にマスククリアに不安がある方は、それだけでパニックになることも考えられます。

マスクに水が入った時の対処法

まずはその場でマスククリアをしましょう。1回でうまくいかないことも多いので、複数回に分けてマスククリアしてみてください。もしマスククリアをすることに不安があるのであれば、インストラクターやバディに伝え、体を保定してもらうのもおすすめです。マスククリアをする前に、安心できる状況を作りましょう。

もしマスククリアをしても繰り返し水が入ってくるのであれば、何か原因があることが考えられます。「髪の毛が挟まっている」「ストラップがねじれている」「スカートに亀裂が入っている」などです。これらの原因は、水中では自分で分かりづらいので、インストラクターに確認してもらいましょう。

急浮上によるパニック

初心者でBCDやドライスーツの取り扱いになれていないと、急浮上を起こす可能性があります。

急浮上は名前の通り急に浮き上がるので、早く対処しなくてはなりません。そのため、浮上を止めようと焦り、最終的にパニックになってしまいます。パニックになると吸排気ボタンを間違え、給気することでさらに浮上速度を速めてしまいます。浮上速度が早ければ減圧症にも繋がるので、パニックを防ぎたいものです。

急浮上に対する対処法

急浮上を防ぐためにはまず、小まめに吸排気することが大切です。とくに浅瀬へ移動中は、早め早めに排気をしておきましょう。

そして急浮上しそうになった場合、まずはBCDの排気ボタンを押しましょう。緊急時ですので、すべて排気してしまっても大丈夫です。また慌てて手足をバタバタさせると、上手に排気できません。頭を上にして、排気口がしっかりと上に向く姿勢をとってください。

また慌てていると息を吸いがちになります。肺の空気もなるべく出した方が沈むので、息を長く吐くようにしましょう。

それでも急浮上してしまった場合は、「あー」と声を出しながら浮上してください。浮上中に息を止めてしまうと、肺が破裂する可能性があります・声を出すことで自然と排気されるので、肺の破裂を予防できます。

不安なスキルは練習しよう

パニックの原因はさまざまですが、その多くはスキル不足、そしてスキル不足からくる不安が多いです。これを解消するためには、苦手なスキルを練習する以外ありません。

各ダイビングショップには、「リフレッシュコース」などと呼ばれるコースが用意されています。お店にもよりますが、このコースに申し込めば、不安なスキルをじっくりと練習できます。お店によってはマンツーマンで対応してもらえるので、納得するまで練習してみましょう。

ハンドシグナルの再確認をしよう

水中で何かを伝えるためには、ハンドシグナルを使用します。急なトラブルでなければ、時間をかけて身振り手振りで伝えれば、何かしら伝わるかもしれません。しかし緊急なトラブルが発生した場合は、一発でトラブルを伝えて対処してもらう必要があります。そのため、緊急時によく使うハンドシグナルを今一度確認しておきましょう。

ハンドシグナルは講習の時に習い、その後にトラブルが起きなければ使うことも少ないです。そのため忘れてしまっている人も多いはずです。しかしそのトラブルが発生したときに使えないと意味がないので、日ごろからしっかりと確認しておいてください。

まとめ

スキューバダイビング中によくおこるパニックの原因と、その対処、予防方法を紹介しました。

パニックは、初心者はもちろん、どんなダイバーにも起こりうることです。水中という特殊な環境でのパニックは、死にも繋がることもあるので、可能な限り起こさないようにしたいものです。そのためにも、日ごろからスキルの練習や万が一の際のイメージトレーニングをしておきましょう。

また、何か起きたときにはまず深呼吸をする癖をつけるのもおすすめです。トラブルが起きると、大抵の場合は心拍数があがっています。深呼吸して落ち着くだけで、状況を理解し、対処もしやすくなります。

この記事を参考に、少しでも安全なダイビングを心がけてください。

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